地藏祠
誇こり とか
たあいないものをぜんぶ
踏 み超えたその篝上に常らいでる
こころの信り仰ころの 祠こ処
無実で夢昧なプライドなんて
要らない
そんなものはひとの我欲を
爬き毟り窓どわせるだけ
ただひたすら
そこの地の土ちなかに 根 を張り
むごんで鎮づかにくらす衆の
さがとさまを視衞もる
貌お 貌お 貌お 貌お が在ればいい
其れだけで無辜の衆みは安堵する
道祖信仰なんてそんなものなのです
ネ 申 樣というおおげさなイメージでなく
ひゃくねんの風雪を跨いでん
灼熱炎天夏のしたでも
極寒のもうふぶきに嫐られてても
ただ脇こに并らぶ同衾として
郷土(ちく)でいつまでも 俟 っていて
くれるぼくらの霊が零えれる里墓ょ
なんです
だからおおきく聲を放げて 提 ける
ただいま
『 おかえり 』
と 道祖さんたち
夙うにい亡くなった親御の替りに
恒つも 應 た えて くれてる
『 タダイマ! タマ。』