闘魂旅團
天井から突き刺し降ってくる
ナトリウムトップライト
興行向けにつくられた人造の
囲いこまれたリングのなかで
観光ダイヤモンドのなかで
かわされる肉体言語の泡だつ
汗と血小板が 黄漿もが羽ね塵り
捲る捲るスペクタコー! 臨場感
しらぬうちに捩れてくるリンパ管
ルナティック!ルナティック! よー
ケモノたちの気迫と鬼爆にますます
アクセルがかかる ブレーキ毀れた
どっちももうゆずれないぜ
交わされる臭い息 窒素臭 塩素霧
いきてる しんでる どっちこっち
いや まだうごいてる しんでない
咆咽し悶絶しているのがその証左
シナリオのない吐息のミュージカル
ここでは肉も骨もとっくに打楽器
アンプにさっさと接いで客席革に
響かせろ いいみえっぱりになれ
役者たちの肩胛骨もぬべすべ腹も
なかでぬるぬる春めく心臓も肺袋も
うごうご肉内部から演出している
トップロープから身が颯爽躍る
ホラ 皆がおまえに配注している
痺れろ痺れろシバけシバけシバけ!
お立台マットがドラムの皮のように
慄える 伝播する 見ろ! プリケツだ
っ
えっ事故がおそろしゅうないかって? 怖あないいうたら詭弁になる
せやけど好きではじめたこつ横死は
止むえんほなこて覚悟はまず一題事
いざそうなりゃなにも悔いず考えず
マットの水平あたまのライト尻目に
みっともなく尻脚太腿大の字に棄げ
ネムケに喚れるまま昏睡し了るだけ
らくちんらくちんヨ と軽口叩き続つ
やがてふたりのケモノたちは
ヤバれくだけた板敷ちの底に一共に
しずんでいった も早敵じゃない
ただの運命共有体だぜ黄泉路では
こうして本望な大団角企わだてられ
蹟とは髭もじゃのかたリテが咲いた
グロリアーテをこの叢著に刻すだけ
さ