虚織りの海
肌のそとがわは夏まえだが
ぼくのこころはいつだって
こおりが浮いてる冰悔だ
虚空は恒ねに魑魅魍魎つに織られ
くつり 拡 げ られている
ところがそのとちゅうで唐突に
折れて しかいのそとに消えている
その果こうがわはこちら側からは
いっこうに 視えない 不識領分
おおきなうなばらの水平線の先が
折れ陥ちてじつはそこから
ヴァル ハラが徐るのかもしれない
何もなく ほしぼしの下の痘痕盤た
といみない窪みの連続かもしれぬ
病みの狭ょう怖とおんなじ疇ぐい
こころのどこかでふき荒ぶ
虚織りの水堂で そのなかに佇む
岩窟にぼくは亡 ぅとたち くつし
靄 柱のあひだからかひまみえる
すぐかたわらの終末を みすえる