ミョロムル腮タイムズ
おる日の正午を境に
かれらミョロムルは大量に地球に
落ちてきた
カミサマの説明するには
ミョロムルたちはいまこの「地上」
にいる人間とおなじ数だけいて
ひとりひとりの人間と一匹一匹が
そのいのちを共有している仕組み
なのだそうだ
![](./otomeda88/img_370.jpg)
これはじつはカミサマが暇潰しに
はじめてしまった遊び
しかし無論人間は憤激した
おかげで罪のないいのちが喪われ
最初の五時間で1割の人間とミョロ
ムルが同じ数だけいなくなった
ある意味最初にいなくなった人間は
しあわせだったかもしれない
痛みもくぬしみもせず気が付いたら
ただ存在しないことに書き換えられ
たのだから
ミョロムルはべつに害を加えないし
そんなに臭い訳でもない
無関の生態系を改変する訳でもない
ただ人間に近づき寄添ってくるだけ
馴れ馴れしく屈託いてくる本性だけ
ただこまったことは
一定のじかんがたつと彼らは互いに
共食いを始めて半減していくことだ
だからいのちがどうやっても惜しい
往生際の悪い人間たちのあいだで
新らたな沢山のドラマが産まれた
その一つ一つがサーバーに記録され
つぎの新しい社会の聖書になった
さあ 今日十二歳になったきみたちに
神官のわたしからその写本の初典を
さしあげよう
ミョロムルと共栄する人生を
引き続き楽しみなさい