the knife inspires life
わたしはでかけるまえにいつも
はだかになりじぶんの胸の
心臓のうえにナイフをあてがう
もちろんほんとうに突立てはしない
あくまでもふりだけだ
痛いからね
それは若い頃からおのれに課した
たんなるばかな儀式
ぎりぎりの寸前で思い止まることで
自己がまた新たに生き直せる
気がするから くりかえしている
ひとはぎりぎりの生の崖際瀬戸際に
突き詰められ立ち竦むことで真の
生のいみに対面することができる
のかもしれないから
しかしそのうちほんとうにき紛れに
にくを割いてしまうかもしれない
だが其は衝動的であってはならない
そのいみを省がえず行使することは
楽チンな逃亡だから
つっ
???
ぎゃっ やってしまった うぷ
むこうの液体がでてきちまった
ティッシュ ティッシュ!!
バンドエイドはどこだっけ
やっぱ痛いよう なくなったお母さん
やはり痛いのは怖い 死はおっかない
こうしてじぶんが自ら死を択べない
ぐぶつにすぎないことを汁るのも
あるしゅのギシキであるんだろうなあぁ…
と顕れた自分の体液たちと交流する
就だけ渠かい幼稚園児がここに独り
匠に傑ぐられ研がき窮められた
銃刀の秘める志高美というのは
怠惰な日常に疑問を突き付け
死との境を剥すく削ぐとこで
それらを再視する機会を抉りだす
ところに存在するようにおもえる
そのとき刃はただのツウルではなく
にぎる者の聴き喚めようとする
恣意そもものなのだー
しりもにい〈卒園式〉