ポエム
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乳紅原


しょほぢよは苺紋に紅をぬる

みぎ紋 ひだり紋と丁寧に彩筆を

輪象の血腺のあつまるところに

遅遅と這わせ被おっていく

今宵は彼女が初めて差し出される夜

深川辰巳の岡場所で私生児として

そだった杢太郎は姉同様の背毬が

懸命に馴れぬてつきでじぶんの

宝石らを温ぐい 研がきづつ

粧っているいじらしいさまを横で

痴呆のように長がめている

やがて未熟な梨のような裸の上から

朱けの枇杷柄の羽織を纏とう背毬

そのせつな杢太郎は香の匂いにふれ

白地の沙なかがやく娘の肌表もての

漠原に連れていかれ たち竦くんだ

姉弟の竿燈語りが忽ち身を包み込む

弛らかな丘の錐起のあいだに傾斜の

拡びる 無欲くな谷にに路

さえぎるものはなにひとつない

戦死者の館(ヴァルハラ)

このかくもいとおしい光景をほかの

どの雄床公にも託たしたくないよ

稚いこころにはじめて我執という藍

の闇に燦゛ら澱いた感情が芽映えた



時代錯誤の辰巳を棄てよう

22/02/01 08:01更新 / OTOMEDA



談話室



■作者メッセージ
いくつか持ってるおおた慶文さんの画集は汚れるまえの自分にタイムリープさせてくれる銃爪(トリガー)です。
https://youtu.be/eRa90TjoMZs

あと 連投してるのはネタがあとからあとから積上がってくるからで。

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