ふしぎな ギモーブ
「ママー。ギモーブ創ってよ」
ギモーブ?なによそれ
「うーん、昨日のお誕生会でね
むつみちゃんのママがつくってね
とってもおいしかったんだよ」
まいったな作ったことない
しかたない 町で訊いてみるか
買い物に出てモールの八百屋の
兄ちゃんに訊いてみた
おにいさんさぁギモーブって分る?
「ああ。ギモーブはねフランス語で
薄紅立葵草のことだよ、若奥さん」
ウスベニタチアオイソウ?
「ほらこの鉢植えのやつ。これは鑑
賞用だけどここの根っこの澱粉が食
用になるんだ。根っこだけじゃなく
葉っぱや花も煎じてハーブティーの
ようにして飲めるんだ。喉が痛いの
にも効くお薬立ち箒の一種だよ」
なるほど ミチルはこんなものが
欲しいのか
あたしはさっそくその鉢植えの
植物を買って持ち帰り ひっこ 抜い
て調理に取り掛かった
その夜 出された夜食を前に大きな
目をまん輪るくするミチルがいた
「ママ……これ なあに?」
ギモーブだよ 八百屋さんに聴いて
買ってきたんだよ
ミチルの前には大皿の上に載せて
じっくりと内かまで火を通しKい
焦げ目のついた根っこの料理とつ
いでに葉からエキスを煎じ出した
ポカポカのティーがカップの中で
豊かな湯気をあげていた
どうよ たまには変わったお料理
うれしいだろ
あたしも献立レパアトリが新たに
増えて心のなかがポクポクだった
ぎもぎも