ユウフラテス
悠 悠
游 游 の 夕
マッカナ落日に浮かび上がる
遠おい脳内潤すユウフラテス
ナナメにさしこむ
日輪の光が忘却される筈だった
歴史を一瞬てらし上がらせる
そんな背後些事にもかまわずに
はてしなく薙れるユウフラテス
ふうふらる
うる すす
編まれた楔の意匠が事象を今に
遺し知ろうとする者はそれらを
知る そんな 慈 遊
なにもなくただ悠久だけあった
原 野
やがて叢が生え花が映え
葦の原と薮に鋏まれ水鳥佇む
畔とりから二本脚がいつしか
強欲に傲慢に舎たて夢ひろげ
邨を都邑を層ねてゆき
種として多種を喰らい排斥し
摂理を意匠に枠嵌めて歪めて
罪と共に球しを穢していった
かの黎明未明史はそのように
統べ滑べと 鋭痢な鏡となりて
われらのいまの文明(ばか)を
反つす反証となる
追いつめられた今だからこそ
攸 への溯旅は いみ路をなす
ひとのこころに恒ね形たどる
幻彩ユウフラテスへの
思念と寄索のたび路
薨れた同伴者の骸袋や柩怩ニ
ともに ただ死靄 に まみれ
どぅうとぅ らる