穀倉地帯
実家からの帰り道妻と運転し走っていて
そうしていて
穀倉地帯にさしかかった
そこは自分の郷里からさほど遠くない
黄金色の稲穂が た わ わ に成り
幾萬億条もの豊悦の房が列んで重たげる
大農村田園王国だった
ぢゅるっ
『アナタ、どうしたの?涎音なんか
たてて』
ん?聴こえてた?すまん
妻が怪訝げな表情で覗き込んでくる
たわわなイネさんたち見たらついサ
ほっっかほかの美味しいごはんやお結び
おもいうかべてね
実はわたしは想像力のみで満腹になれる
稀有の異能の餅ヌシなのだ
『でもアナタってパン派だったでしょ?』
するとそのことばでイーストを麦由来の
パウダアに塗って思い思いのフォルムに
填めてアツアツの窯まで焼いたできたて
の パン のいめいぢもふくらんで涎だれの
瀧が唇窟からしたたった
ハンドルをにぎる指根さえ慄るエル
ううう最早我慢ならない
おい。
その先の『道の駅』入ろう
そしてこの地元名産のコメ袋と菓子パン
とついでにナマ野菜やら卵や地酒も
もはホカしたケダマな縫いグルミたちも
購入していこう
もちろん現金なんかなくていい
現代はコレがあるからな
といってわたしはスマホを取って祠こら
しげに妻に見せた
今や 硬貨も 紙幣も 生活ツールとして廃
たれ
どんなことでもQRコードや加入ウェブ
サイトのパスワードで決済できる社会に
なったのだ(ドンナモンダイ★)
こんなキャッシュレスライフ
われわれのコドモジダイにいた一体どの
勢力が予想していた??
妻は呆れてぽつりとポチった
『アナタが妙に偉らそうなのはなぜ?
そんなにこの世のなかに生まれ遇わせた
のが ウれしかった??』
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