骸ろとまなつの残酷
灼熱に
熱されたアスファルトの面えで
ゴロンと仰ホ向けになって
映像を最早いゃ写さぬ眦臀りで
宙う天空を睨みつけていた蝉(き)み
のそのむくろ
車道でタイアに踏みしだかれるのを
イマカイマカと心待ちにしている
真夏のこども絵本のムジャキ
稚ないあたまはその時眼にした理不尽な
残酷をどう解釈らえようか
逡巡よっているようだ
ぼくのむすこやむすめたち
だがな
本当おにね
家のかべや膜のそとがわの
社会や世界は残酷なのだよ
対流圏のそとにはやさしい
空気すらない晒らさらされると
ぷううってホッペとか膨らんで
古びたききゅうみたいに
あなたは爆散しちゃうんだ
深空パックがあり
でるとプウと袋浮く爛んで
爆散むする危険なばしょっそこッ
デンジャラス
だから蝉(き)みはむしろ
僥倖なのだ
そんな哲理なんか些事に投げて
逃げて
ただ殻をぬぎ
謳って
詠たって
絶唱して
きがつくと絶命などして
アスファルトの上に和だやかに
横たえて
なつのふーぶっしの一額となって
だれかの記憶のカタスミに
灼きちけられる栄煌
なつの分厚い刺繍楽譜集
まだまだ閻らかれたばかりだぜ
まあ熱中塩ょおっに気をつけ
息き永らえな
すまほのまえでメダルメダルに
熱中白熱するのも分かるけど
いのちがだいぢ