雲月暈帳
月が厚げの雲の幃ばりの背ろに塞れた
ボンヤリと
気体の透間から漏れいづる
もて余し気味の 付加余暇光のみが
霞棲みとともに 混波ろしの環を絵がいて
静づかの面みに磔り雪そいだ
燦燦
散散
之れは
なんという警示
なんという経告
微晶を交ぜた沙な箱たちの
煌裸煌裸舞い振るふりるの
細差れ配とすら シャアアっ と
耳みみにでなく庫転ろに鏡びく
飾ざ濾すられ たなびく 靡びく
指び峡(ま)から滑べ抜けていく廃と
俺の肺がそれに派調を合わせ
同期する
天地の呼吸 満架りの動悸
説きを美つし慈でる豊穣なる衰い賛ん
其のう ゑ に
涛 深 が紋様の島マ映がき
箔 く と晶粉が頭天から展り散ろがる
眩暈いにも准た 夜半の 夜ん更の
孤独り蠹たり
石板に版ざむ 記っ録帳と
放置された痕の 萬年筆にまで
あの波の輝り返しの みら は届どいてる