潺らぎ、それって歳時記の額ぶち
近所の住宅街のはずれ
丘の梺にある小川
このせせらぎ遊歩道は
四季の移ろいを語り
歳時記を眩しく映しだす人工の額縁
大いなる という修飾詞のつく河を
厳密に模した縮図(ミニアチュア)
もちろん自然そのものじゃなく
『庭園創作』の概念のもと
ひとの尺度と意匠で
加工された疑似自然であるけども
![](./otomeda88/img_101.gif)
設つらわれたみぞにながれる
透けた水は流れを留めず
途中に顕れる小カスケイド
からはシブキと雫が跳ね
ツツジ、アジサイなど折々の
花卉たちがわれこそ主役と
競演を繰り広げる舞台と霞す
そして 季節が熟してくれば
この狭い回廊にはおのずから
むかしニュータウンと呼ばれていた
時代にここに営み築いた
じじばばが
どこからともなく涌きだし
蒸れてともすると三密状態になる
すこし昔にいくらでもあった里山が
最近はよほど遠方まで
揺られてかないと邂逅うことも
難しい世に
変貌ってしまったけれど
近所のせせらぎはいまだそこに住み
しんでいく土壌に根づいた
じじばばの
心象の基盤風景を象っているのは
間違いないのだから