ポエム
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祭りの金魚と風鈴と
ドーン



尺の大きな花火の音で
 呼吸が少々早くなる

夕暮れの 夏の神社はにぎわしく
早く行こうとウチワの中の赤トンボ

つないでいたママの手をふりほどき
かけだし離れた 水色浴衣の女の子

目を細める母親‥



遠い記憶がよみがえる

僕が体験した 幼かった頃の祭りの日
母親に手を引かれ かぶったお面から
見上げると そこにはいつも母親がいた

昭和の初めの
優しい母親がいた‥

あの日の私も
 母の手を振りほどき
     人混みの中へ



ふと
夢中になっていた私が振り返ると
    そこから母は消えていた

祭りも 人混みも‥

私の母親の記憶も
  ここで消えた


ぎゅっと握り締めていた
   金魚と風鈴とともに‥



20/08/14 07:17更新 /  老女と口紅。



談話室



■作者メッセージ
作:2005年11月06日(日)

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