ポエム
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面影への思慕
出会いもせず帰りもせず故郷を成す感覚にのみ宿るあなたへ

かつて呼吸らしき呼吸をしていた地に帰っても最早呼吸は出来ぬ あの地の海が写すは網目の如く刻まれた土気色の顔 私が殺した輩の顔
いずれ血らしき血を流し出会うであろう域を超えても最早血は流れぬ あの域の空が写すは馴染の傷も亡き青白き顔 私に殺される奴さんの顔
出会ったであろう出会うであろう故郷 親愛も気まずさすらも許してくれぬ 実感亡き歪な感傷とただただ乾いた風を残し断絶する

過去の実感も未来への予感も投げ捨て心象にのみ残る面影を追う 触れざるも離さぬあなたの影 脳髄にびっしりと、ひっそりと、情緒的に実存するあなたの影 日向の支配する地の極一点にもたれかかって涙に乗りやがて天をも覆ったあなたの影
誰とも知らぬあなたの影を追う 故郷を故郷たらしめてくれるであろうあなたの影を追う
例え死の影であっても構わない ただただ還ってゆくことだけを想う
25/03/03 00:50更新 / 白昼夢



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