ポエム
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蠢く
無知故の希望と恐怖に苛まれ竦んでしまったためだったか、あるいは盲目的不信で背伸びをしたためだったか、はたまた隠して飼っていた青臭い傲慢と卑屈と欲望とを嗅ぎつけられた獣に吠えられてしまったからだったか、そのどれでもなく諦めと自由を着こなすのに恥じてしまったためだったか ともかく、能天気な陽射しが世界を祝福している春のような、そんなある日に躓き転けた。
立ち上がろうと思考する間もなく空が陰り刺すような雨に叩かれ、勇む足は泥濘んだ地に絡め取られた 藻掻けば藻掻くほどに無様を晒す身を嘲るかの如く巡る血の熱を吸う泥は、不快な安心を持ち皮膚と同化せんとする
泥を振り払えぬまま時間さえ堕落した様に感じた頃、とうとう腐敗した地は割れ真っ逆さまに落ちていった
陽の射さぬどん底、時の欠落した闇の中で人とも泥とも取れぬものが今日も蠢く
25/02/25 04:42更新 / 白昼夢



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