空も地も人々も流血に染まったため夕間暮れの陽が笑う
血の気に当てられ全てが狂う
立ち並ぶ電柱や鉄塔は慄く 見えざる足下の影が好き放題に伸び家も人も貫いた様に見えたから
規律を正し右往左往する人々の影は錯乱を湛え、縺れる足は駆り立てられる 交差し、裂き合い、破れさえするが皆々平静という狂気を保ち、赤黒い影のみ瞼に貼り付け消えてゆく
夕陽を背に構える踏み切りの絶叫は、体内の生き血さえ沸騰させ、脳までも赤く染めんとする
鳴り止まぬ警報を跳ね除け家路の影を縫う 今日の死の姿にほくそ笑む