花火をしようよ
あの子が言った
私が買って来たんだよ
庭に下りると外は宵闇
そよぐ涼風日々草

まあるくなって座ったら
それぞれ手に持ち火を点けた
ぷうんと漂う火薬の香り
久しぶりだね
ほんとだね

パチパチ火花
チカチカ踊る
金糸の光を散りばめて

昔おばあちゃんちでもやったね
あの頃みたいと明るく笑う
家を離れたこの子も帰り
何日泊まっていくのかな
家族が揃った夏の夜

パチパチ火花
チカチカ踊る
煙りの中に浮かぶ顔

やさしい時間が過ぎてゆく
ほらもう最後だよ線香花火
やっぱりこれだよね大好きだよね
すっかり大人になった子どもたち
立ち上がり見下ろすあなたがいる

こんなにささやかな花火だけれど
すぐに終わるけど幸せだ
チカチカチカチカ輝いて
一瞬大きくなってぽとりと落ちた
私たちの砂時計も落ちてゆく

空に瞬く小さな星
そよぐ涼風日々草
家族が揃った夏の夜
ちょっぴり胸が切ないね
またいつかきっと花火をしようよ