ポエム
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君の町から
偶然てときには
思いがけないプレゼントだ
ずっと昔君が住んでいた町を
通りがかった

なんにも無かった国道に
今はたくさん店が並んで
その賑わいに目を見張る
変わらないのは滔々と流れる川だけ

あの土手を一緒に
息弾ませて上ったね
空を目指し早く早くと
打ち上げ花火に間に合うように

真っ暗な岸辺
明かり一つない川
夜風に吹かれてみんなして
はじける花火を見ていた

ああ あれから何十年
胸ときめかせた大きな花火
幼すぎた僕たちは知らずにいたんだ
それが最初で最後だと

月日はまるで流れ星
掴めないまま彼方へと去る
また来ようねと言った
あの約束は果たせなかった

手を繋いで並んだ
それぞれの家族はもういない
遊びに来たのはいつだろう
何才だったんだろう

あれから長い旅をした
ふと思いついた遠出
いつもと違うドライブが
僕をこの町に連れてきてくれた

国道を真っ直ぐ進みながら
スピードを上げる君の町が遠ざかる
ただ通り過ぎてくだけなのに
何かが込み上げて標識が滲んだ

繋いだ手と手
夜空の花火
懐かしい町
ありがとう素敵な偶然よ

あの日の全てにありがとう



25/05/06 21:44更新 / 香弥

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