ポエム
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紫陽花のとき
ここは紫陽花ロード
通れば思い出す
懐かしい人たちと笑い合った
あの6月

ひなびた工場町には
赤、青、紫、色とりどりに花が咲いて
今だけ楽しげ
来るたびに一緒に並んで
眺めながら歩いてる
そんな気持ちになるの

繋がっていた
楽しかった
それは不思議なやさしさだった
それでも知っていたわ
この彩りは束の間だと
だからとても愛しかったの

あれから町には新しい建物が
幾つか建った
ずっと変わらないと思った場所も
少しづつ変わってる
巡る季節はそれぞれを風に乗せて
何処とも知らない場所へ攫って行った

どんなにきれいでも
どんなに大切でも
こぼれてゆく
流れてゆくよ
それが時のしわざ

線路を越えて信号を渡れば
緩やかなカーブ
白いアナベルとピンクの萼紫陽花が
まあるい笑顔で迎えてくれる

ああ 今年もきれいだ

みんな笑えたらいいね
幸せ感じて進んで行けたら
自分の場所で
自分の歩幅で

紫陽花ロードは
美しい花に会える道
静かに時を噛みしめる道




24/06/09 11:12更新 / 香弥



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