ポエム
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雷鳴
やさしくなれない大人たちが

やさしくしてと泣いている

愛を知らない人間たちが

愛してほしいと叫んでる


時はせっかちな馬のようだね

最後は誰も追いつけない

やわらかな木綿のような手触り

そんな日々をあげたかったのに

そんな日々が欲しかったのに


ふわりゆらり揺れながら

穏やかな微睡みに微笑んで

大丈夫と頭を撫でる手を感じて

眠りにつく

そんな夜をあげたかったんだ

そんな夜が欲しかったんだ


人は月を見上げて手を伸ばす

貰いたがりの子どものよう

失くしたんじゃなくて

最初から無かったなら

恋しがったりしないだろう

原始の時代が続いていたら

世界はもっと輝いたかな


幸せって誰にとってだったんだい?

それは

あなたのためだったのか

僕たちのためだったのか

それは

少し空々しくて

遠くで鳴ってる雷みたいだ


誰かを笑わせたかったけど

上手く行かなかったんだね

苦しむ人にとってはどんな朝も

沈んでいく沼のようなもの

願っていたのは今日は昨日より

楽になるように

それだけなのかも


やさしくなれない僕たちが

やさしくしてと泣いている


光が

希望が

魂が

夢の中で元に戻りますように

あたりまえに生きていたあなたに

あたりまえに笑っていた僕たちに

戻れますように

せめて夢の中で





23/10/19 22:27更新 / 香弥



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