ポエム
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坂道とあいつ
急な坂を自転車に乗って

あの歌みたいに毎朝下りた

あいつは後ろで

漕ぐのは僕で

なんでいつもそうなったかな

あいつの自転車だったのに

たまには漕げよと言うと

おまえの方が重いから仕方ないだろ

なんてちゃっかり後ろにまわる

いいさ

ちゃんとつかまってろよ

ハンドル握れば坂の上から

線路と駅舎が左手に見える

あとちょっとで駅前通りは人でいっぱい

降りてくるのはうちの高校の生徒ばかりだ

電車が着く前に駆け抜けようぜ

行くぞ!

OK!

一直線に漕ぎ出せば

まるで空を飛んでるみたい

あいつはギャーッと悲鳴をあげて

怖がってるのか楽しいのか

僕の制服をギュッと掴んだ

風が当って前髪が上がる

冬はキンキンと頬が冷たい

真っ直ぐ下だけ見て走った

最後のゆるやかになる所で

ブレーキ離して足を上げたら

一気に下りきる

駅から乗客が出て来る前に

通り過ぎればすぐ学校だ

あいつは幼なじみの同級生

女の子なら青春ぽくて

もっとキラキラしてただろうな

思い出すと自然に笑える

この道を通るといつも浮かぶんだ

左手を見れば線路と駅舎

あいつと一緒に

風に乗って飛行機になった

行くぞ!

OK!

昔々の登校風景

朝日が輝く空の下


23/09/13 13:02更新 / 香弥



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