ポエム
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森に抱かれて
森を歩こう

木立ちの中を

揺れる木漏れ日

湿った空気

風が吹き抜け葉がざわめく

ゆらゆらと枝を垂らした小道をゆくよ

姿を見せずに鳥が鳴く

クヌギの上からスイーッスィーッと虫たちも

重なる調べ秋の歌

涼やかな景色が嬉しい

ようやく暑さは終わり季節は変わった

時の狭間を抜けるよに

ゆっくり歩いて行くと

所々に萎れた花が

夏の名残りに咲いている

枯木のベンチに腰掛けて

ひとり憩う昼下がり

遠ざかる空は雲さえとどめずに

川のように流れてゆく

森はゆりかご

ゆらり揺られて

疲れた命を自然に委ね

静かに癒やされている

そんな気がして安らかで

何故かしら涙が滲んだ


嗚呼ずっとここに来たかったんだ


木立ちの向こう

遠くで人が見え隠れ

近づく気配がするけれど

もう少しだけひとりでいたい

このままひとりきり

森に抱かれていたいんだ

出来るなら

木の葉がすっかり色づいて

もみじに染まるその日まで





23/09/12 06:01更新 / 香弥



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