ポエム
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サークル・ゲーム
それは交換日記のようだった

夏が好きだと誰かが書けば

秋もいいよと誰かが書いた

届いた言葉を繋いだら

いつの間にか輪になった

それはレモンの香りのする時間

不思議なくらいもぎたての

ときめきながら字を綴り

夢中で過ごした短い季節

サークルゲームの僕たちが

一緒に笑った日々だった


花が咲いたら花を見て

雨が降ったら雨を見る

それぞれ見える景色を眺め

共に語らう心と心

やさしい時間のそのあとで

君は言葉を持ち去ったね


誰かがゲームを抜けてった

一人また一人

途切れた思いが風に舞う

詰まった行間に君はいない

ただやさしい人たちの影だけが

記憶のスクリーンにほのかに映る


君は楽しかった?笑っていた?

訊いてみなければわからない

サークルゲームが終わったら

僕らはどこに行くんだろう

誰の心に残るんだろう

さみしがりだと言わないで

忘れたわけじゃないんだよ

心は自由な紙飛行機

どこへでも飛んで行くものだから

かけがえないと思っても

砂時計は落ちてゆく


それでもね

僕はずっと覚えてるだろう

例えようのない感謝を込めて

空にかかった虹の跡を

消えていくから美しい

春夏秋冬光の中で

僕らが紡いだ言葉の景色を




23/09/06 10:03更新 / 香弥



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