ポエム
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夏の貝殻
貝殻みたいに埋もれてた

記憶の欠片がきらめいた

見つけるつもりなどなかったのに

偶然拾ってじっと見る


突然凪いで風が止まった

心によぎる淡い影

たくさんの貝の中から

どうしてこれなんだろう

ただ普通に過ごしただけの

あの夏の日


懐かしければ懐かしいほど

さみしくなるのは仕方がないね

どんな色でも形でも

今もこんなに愛しくて

もう確かなものではないそれを

包むように握り締める


束の間でいいんだ

見つめても時間は

決して止まらないから

風が吹いて波が寄せたら

手から放して海に戻すよ


歩いて行く

変わらぬ歩幅で 

見えない明日に進んで行く


だから貝は沈めておこう

思い出という名の砂浜で

またいつか拾うときまで






23/07/13 23:05更新 / 香弥



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