ポエム
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さよならバディ
僕らは同じ舟に乗った

それはきっと偶然のこと

オールを握り前に進む

ちぐはぐだったふたりのリズム

少しずつ合って来て

同じ呼吸で腕を動かす

伝わる力

君がいて僕がいて

僕らは多分この世の歯車だけど

人との距離が心地よいかどうかで

気分は全然違う

手を伸ばせば

存在を確かめあえる

いるのがあたりまえになり

いつのまにか顔を見れば安心したんだ


だけどずっと一緒に漕ぐわけじゃない

どこかに必ず港はあって

それはそんなに遠くない所

そこに向かってるって

わかっていたけれどね


やがて大きな波が来て

一瞬見えなくなったあと

目を開けたら波の引き際

僕たちは舟を下り

旅は終わった


先に立ち去ったのは僕

またどこかに向かわなくちゃ行けない

そんなふうにいつも前だけ見てしまうんだ

あれから君はどうしただろう

違う舟を探してるかな

僕はまた漕ぎ出して

空を見ながら水平線の歌を歌う

ふいに隣にいない君が浮かぶと

知らずに手を止め

思い出をレモンのように

噛みしめるんだ


あの安心感

他愛ない笑顔

気が合うってシンプルだけど

幸せなことだね

ねえバディ

大切な仲間

そんな言葉は照れくさいけど

そう思えたのは君だけだった

どうしてでもなく

だからでもない

ただ湧き上がるだけの親愛だったよ


僕はまた漕いでる

君と離れても

今も進むことだけ考えて

あの旅が僕を強くしたかはわからない

今度もどこに港があるのか知らない

ただ漕ぐだけ

眼の前の水平線を目指して


何度も舟を乗り継いで来た

今も僕らが乗った舟のなまえを覚えてる

どれも限りある時間で

どれも過ぎれば懐かしい

君がいた

会えて良かった

だからあの旅は

とても素敵な航海だったよ

僕らが見つめたあの波は

今もキラキラ光っているよ





24/01/09 20:34更新 / 香弥



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