ポエム
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通り雨と天気雨
思い出は通り雨
気づけば濡れて
瞼の裏に夢の雨垂れ
影絵のように昨日が映る

知らずに滲んだ
愛が伝い落ちるから
そっと拭って目を閉じた

束の間の淡い闇
光の届かない世界で
ただじっと動けずに

そのとき現(うつつ)から
声がした
顔を上げると景色の中に
君が見える

ああ 君がいる
今ここに
光が戻る
闇が消える

君は空を割って降りそそぐ
静かな静かな天気雨
雲間から差すやわらかな光
銀の糸がサラサラ下りて
潤んだ草木が輝くように
心が息を吹き返した

あの日踏んだ長い影も
胸に積もった堅い土も
君がすっと流してくれる
思い浮かぶのはこの言葉

ずっと歩いてきたし
これからも歩いていくんだ
前に向かって変わらずに

通り雨と天気雨
どちらも突然降るにわか雨
どちらも不意に胸をさらって
時を止めるよ

ただ切なくて愛しくて
これ以上もこれ以下もない

君がいる
今が動き出す
嘘っぽい笑みでもかまわない
笑った顔を君に向けよう




23/01/14 13:39更新 / 香弥



談話室



■作者メッセージ
back number風ラブソング、のようなもの♪
お読み下さりありがとうございます(^^♪

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