ポエム
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メタセコイアの木の下で
メタセコイアが晩秋の紅い葉っぱに
覆われてとうとう最後の装いを終えた
巨大なとんがり帽子のようなてっぺんを
真っ直ぐ空に向けて突き刺すようにそびえる

今日は気持ちいいほど澄み切って
青い天井みたいだ
私もメタセコイアの真似をして
空に向かってシャキンと手を伸ばした

枝の隙間から見上げると青はすぐそこ
思い切り伸びをして背中を反らしたら
吸い込まれそう

どうか私を引き上げて
メタセコイアのその先まで
高く高く連れて行ってよ

空に届いてそのまま青に溶け込んだら
秋とひとつになれるかな
鳥や風と一緒に紅と黄色と茶色の世界を
眺めたらどんな所より楽しいだろうな
空想が羽を広げぱたぱたと飛びまわる

突然ひゅうーと冷たい風が吹いて
私の心は空から落ちた
肌寒い冬の気配をすぐそこに感じてしまった

もしかしたら今日はとても貴重な日なのかもしれない
次に来たときは葉っぱが全部落ちて木枯らしだけが
待っているだろう

だからもう少しだけここにいて
大好きな秋と名残りを惜しみましょう

ね?とんがり帽子のノッポさん
メタセコイアの木の下で




22/11/25 22:50更新 / 香弥



談話室



■作者メッセージ
お読み下さりありがとうございます。
近隣の大きな公園にはたいてい巨大なメタセコイアがあります。
みんな違ってみんないい(^^)

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