いつか拾った貝殻を

耳にあてて聴いてみた

春のさざ波寄せる音

無邪気な時間を思い出す

白い砂に埋もれて光る

貝殻を掘って遊んだね

きれいだね

僕のも見て

私もいっぱい拾ったよ

手のひら開けて見せたのは

桜色した小さな貝殻

縞々模様の大きな貝殻

キラキラ光る貝が好き

つるんとまあるい貝が好き

たくさん好きを集めたら

みんなでせーので見せあった

日は長く夏の気配はまだ見えない

青空の下やさしい風だけ吹いていた

ずっとずっとそこにいて

一緒に笑っていたかったよ

あの貝殻はどうしただろう

ポッケに入れた？

それとも海に返したの？

私は今も持ってるよ

どれも好きで

全部大切な宝物

あれからまた春が来て

砂を踏む夏の足跡を見送った

どうしてだろうね

思い出すのはこの季節

宵闇がそっと忍びより

ひんやり秋風吹く頃

ほのかに浮かぶ浜遊び

遠いさざ波寄せる音

貝殻拾いの春のこと