ポエム
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ショパンの国の片隅で
ショパンの国の駅前広場
誰かがピアノを弾いている

改札には今日も大勢の人々が
押し寄せる
音楽はささやかに彼らを迎え
抱きしめた

鳴り響く音に心惹かれ
悲しみの旅人もピアノに触れる

指先からこぼれていくのは
ノクターン
鍵盤をやわらかく滑る彼女の手
繊細に動く指

昨日まで愛しい人の手を握り
日々の暮らしを営む手だった

美しい旋律は国境を越えて
彼方へ向かう
郷愁と永遠(とわ)の愛を
調べに乗せて

どうかどうかこの祈りが
必ず届きますように
いつか涙の河を渡り
平和な祖国へ帰りたい

弾き終った手を膝に置いて
彼女は微かに笑みを浮かべた
「子どもの頃からピアノが好き」
音楽は心の痛みを包んだだろうか

彼女はきっと
生涯忘れないだろう
ショパンの国の片隅の
広場でピアノを弾いた日を


22/03/28 17:09更新 / 香弥



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