ポエム
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梅咲きそめる如月の頃
咲き初めし
梅の名を呼ぶ我が声に
春は近しと蕾ほころぶ



小さな梅園を見つけた
まだまだ蕾盛り
咲いているのは僅かだ

眺めていると2、3本おきに
木の札が下がっている

鄙の都(ひなのみやこ)
紅(くれない)
御文章(ごぶんしょう)

慎ましく優美な梅に似合う
雅な名ばかり
読んでいると古典の世界に
浸ってしまう

ふと見ると中ほどにある梅は
他の木に比べるとずいぶん
開いているようだ

枝先の蕾がふくらんで
白い梅がちらほらと咲いている
そばに寄るとほんのり
仄かな香りが漂い芳しい

この梅はなんという名かしら
幹に下げられた札を見ると
虎の尾と書いてあった

ははあ 虎ねぇ
疾走する虎の姿が思い浮かんだ
やっぱり早いわ
梅の開花も善は急げで
ひと足早く咲いたのかしら

妙に納得

見回すとどの木も
無数についた固い蕾が
あと少しあと少しと
春の声を待ちわびている

明日から2月
いにしえに如月などと人の言う
満開の梅の花を想像して心が弾んだ

これから次々と咲いて
私たちに喜びを運んでくれるのね
たくさんの木の間から明るい空が見える

ほら 春の足音が聴こえるよ




22/01/31 15:14更新 / 香弥



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