いつも紫陽花を見ると
心に雨が降った

深い桃色の紫陽花を見るたびに
おひさまのようなあなたを
思い出していたのです

でも今年は違った
紫陽花を見て美しいと
ただ心から美しいと感じられた

あなたの面影はあっても
花を花として見る私に
なれたのでしょうか

花々を見るとき心に光があたり
喜びが湧き上がる

色を眺め形を眺め緑の葉に囲まれた
生き生きとした姿に感嘆する

そして季節の移り変わりの中で
今という時間を共有する
花と私がいるのです

こんなにも美しく愛しいと感じるのは
そんな不思議な気持ちが
芽生えたせいでしょうか

■作者メッセージ
３部作２