笑顔は作れた

思ったよりも簡単だった

言いたい言葉は沢山あったけど

結局たった一言で済んでしまった

特に何事もなく

普通に終わった

私の最後はとても呆気なく

そのまま帰りの途中

何度も終わりを反芻した

何回も脳内で終わりを感じた

笑顔で終われたのだから

もう十分だろうと

自分に言い聞かせた上で

やっぱり泣いた

なんで泣いてんだろうって思ったけど

気がついた時にはもう泣き始めていた

自分の顔だけ雨が降っている

また思い出しては泣くのだろう

私の最後は理想通りに終わり

予想外に終わってしまった

でもこれでいい

ちゃんと終わりなのだから

これからも人生は続くし

毎年歳を取り

本当の終わりに近づいていく

それと同時に

何回も何回も最後の恋を経験していくだろう

でもそれでいい

いつしか何回目かの最後の後には

最初の愛が始まるはずだから

その時のために笑顔の練習を

最後でも最初でもどうせ泣くのだから

■作者メッセージ
何回も恋は最後になるし、その度にまた始まってしまうもの。