ポエム
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全ての季節は遺書でした
春は桜が舞うような私の幸せを綴りました

夏はこの幸せな気持ちに紫陽花を添えて綴りました

秋は紅葉の上を大切な人と歩いたときの気持ちを綴りました

冬は、降り積もる雪が溶けていく程の涙の理由を綴りました

季節が巡り

春は散っていく桜の花をただ見ていた時の気持ちを綴りました

夏は昔の思い出を押し付けるように紫陽花の押花を添えて気持ちを綴りました

秋は隣に誰もいない時の、世界には私一人しかいないかもしれないと思った時の気持ちを

冬は、私が消えてなくなるかのように降り積もる雪の中で、いっそ消えることが出来れば、なんて真っ白の空を見ながら綴りました

また季節が巡り、さらに巡り、またさらに巡り

何度目かの春は、桜が私の涙を全て拭っていきました

幾度目かの夏は向日葵畑が私ともう1人の影を写してくれました

何十回目かの秋は、集めた紅葉で子供達が遊んでいるのを笑いながら見ておりました

何回目、何度目か数えるのを忘れていた時の冬は、降り積もる雪を、お揃いのマフラーを巻いて眺めていた時の気持ちを綴りました

気づけば色が付いていました。そんな気持ちを綴りました

何度季節が巡り、何度年が過ぎ、何歳歳を取ろうとも

いつまでも私の全てを綴りましょう

私の最期には

巡る季節の想い一つ一つが

やがて遺書と変わるまで
24/09/10 05:49更新 / 黒ノ猫



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