ポエム
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鈍感力
僕は朝 よくラジオを聞く

そのラジオから

不慮の事故で
多くの方が亡くなった
というニュースが流れてきた

若者や 幼な子までいるとのこと

"痛ましい事故だ"
と胸を痛めて聞いていた

しばらくすると

先程のニュースを伝えたキャスターが

別の話題で 楽しく談笑していた

率直に

"なんだか不謹慎だな"
と感じた

亡くなった人がいる家族は

どんな思いで
これを聞いているのだろう

もし 生きていたなら

このラジオを
一家団欒で
笑顔で食事をしながら
聞いていたかも知れない

しかし
その笑顔は
もう二度と 戻ってはこない…

だけど
キャスターが悪い訳ではない

これは仕事だ

いつまでも
感傷にひたる訳にはいかない

胸を引き裂くような
事件や事故、そして戦争….

世の中は
悲しい出来事で溢れている

それを聞く度に
その家族や知人の
悲しみや絶望を想像する

しかし 僕には
その悲しみや絶望を
想像できても

どうすることもできない…

僕ができること

それは

目の前にいる
身の回りの人たちを
元気にすること
笑顔にすること

もし僕が
悲しいニュースを聞いて
いつまでも落ち込んでいたら

目の前にいる
救える魂に
手を差し伸べることはできない

だから 神さま

僕が 
「鈍感力」を身につけることを
許してください

無視をする訳ではないのです

悲しみを受け止める力を
弱めて 

前向きに進む力を
与えてください


今日もニュースで
悲しい出来事が流れる

僕は顔を上げ
今日出会う人たちの
素敵な笑顔を想像しながら

玄関の扉を開ける



22/05/01 17:09更新 / 少年時代



談話室



■作者メッセージ
悲しみを受け止めつつ、自分にできることを大切にしていきたい。

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