ポエム
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はじめの一歩(小さな赤い靴)
娘よ

お前は
生後10ヵ月くらいで
家の中を歩き回っていたよ

ある日
「靴を買いに行こう」と
親子3人で
子ども専用の靴屋さん
に行ったんだ

そこで買ったのは

手のひらに乗る
お人形さんが履くような
小さく 可愛らしい
赤い靴

生まれて初めて
お前が履いた靴

今でも 大切に
箱の中に眠っている

「さあ 歩こう!」
その靴を履かせ
駐車場に出てみた

あれれ?

その時 お前は
一歩も踏み出すことが
できなかったんだ

裸足と靴では
感覚が
ずいぶん違うのだね

歩くことはできなかったけど

その赤い靴を履いたお前は
アルバムの中で
今でも 微笑んでいる

その後
何度か挑戦したが
靴を履いて
歩くことはできなかった…

数日後
お前を連れて実家に帰ったよ

そして
赤い靴を履かせて
ばあばと一緒に
近くの漁港に行ったんだ

最初は
戸惑っていたお前が

ついに
「はじめの一歩」
を踏み出した

そして
一歩、二歩、三歩…
と歩き出した!

それから お前は
潮風を切り
笑顔で はしゃいで
走り回ったんだ…

時は流れ

高校生になったお前は
体育祭のリレー選手に
なるくらいの駿足だ

それもすべて
あの日の
「はじめの一歩」
から始まった

当たり前のようだけど
決して当たり前ではない
貴重な「はじめの一歩」

人生は
長い 長い道のりだ…

迷い 立ち止まることもある
つまづき こけることもある

だけど
今日の一歩を
しっかりと踏みしめ

その歩みを止めることなく
前へ 前へと進んで欲しい

お前の夢に
そして 
幸せに 近づくために…



20/10/11 05:55更新 / 少年時代



談話室



■作者メッセージ
とても印象に残った出来事を詩にしてみました。

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