ポエム
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母からのギフト(贈りもの)
私の母は
文学少女だった

家の本棚には
母が実家から持参した書物が
ところ狭しと並んでいた

母は
たくさんの詩集を持っていた

バイロン、ヘッセ
中原中也、立原道造…

私は
中学生になった頃から
それらを読むようになった

私は 詩の世界を知り
詩が好きになった…

高校生くらいから
自ら詩を書くようになった

自分が感じたこと 
感動したことなどを
詩にするようになった

ある日
母の詩集を読んでいると
色褪せた紙が
挟まれているのに気づいた

それは
母が自ら書いた詩であった

そして私は
その日付に釘付けとなった…

その詩は
私が生まれる
1ヶ月前に書かれたものだった

その詩には
新しい命を宿した喜び
出産への不安な思いが
綴られていた

そして 力強く
その日を迎えたいという
決意の思いで
締めくくられていた

私は 
その詩に 息を呑み 
そして 涙した

この詩を読んだことは
何十年経った今でも
言えずにいる

ただ
「ありがとう」と
感謝の思いは
いつも 心の中にある

母は今でも
私の誕生日に
お祝いの言葉を添えた
メールをくれる

私もいい歳になり
恥ずかしい思いもあるが
素直な気持ちが 
正直嬉しい

私の命は
母からの最大のギフト

そして

詩というギフトも
母から受け取った

私が 学生時代から
書き綴った数々の詩

今度は

私からのギフトとして
それらを母に送りたい

この世に生を受け

詩という
素晴らしいギフトを
受け取った

母への感謝の証として…


20/09/25 21:28更新 / 少年時代



談話室



■作者メッセージ
母からのギフト(贈りもの)を大切にして生きていきたいです。

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