ポエム
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娘よ 高みを目指して
娘よ

お前が幼き日に
父さんと一緒に
よく公園に
散歩に行っていたね

お前の 
いつもの日課は
そこにある
ジャングルジムに登ること

お前からすると
巨大な 山のような
ジャングルジムを

その小さな手で
しっかりと掴み
その小さな足で
しっかりと踏みしめ

上へ 上へと
登っていったね

「危ないからやめよう」
言うことはできたけど

頂点をじっと見据え
何のためらいもなく
登って行くお前を
真下で静かに見つめ
止めることはしなかったよ

そのくせ
帰り道で 歩き疲れたら
小さな両手を広げ
「だっこ」と
おねだりしたね

父さんはお前を抱きかかえ
家路に着いた

私も
私の母にそうしたのだろう

そして
私の母も
自分の母にそうしたのだろう

こうして
ぬくもりは伝わっていった
愛の記憶は
繋がれていった…


それから 時は過ぎ
お前はもう高校生

「行ってきます!」
今日も元気に 学校へ向かう

誰かが「若者は
無限の可能性を秘めています」
と言っていた

ごめんね…
人は 有限なんだよ

だけど

有限だからこそ
人一倍努力するし

失敗して
悔しくて泣き崩れるし

うまくいって
飛び上がるほど
喜ぶんだ

失敗なんか恐れなくていい
後のことなんか
気にしなくていい

そんなことは
もっと後でいい

幼い日に
何も恐れず
ジャングルジムに
挑んだ気持ちで
前に進めばいい

父さんは 
ここで見てるから

本当に困ったら
手を差し伸べるから

前へ 前へ
上へ 上へ

娘よ
高みを目指して
どこまでも進みなさい

それは
若いお前の特権で
青春そのものなのだから



20/08/23 09:56更新 / 少年時代



談話室



■作者メッセージ
高校生になった娘に向けて書きました(本人は知りませんが)。何も恐れず、幼き日に無我夢中で登っていた姿と、今の姿を重ね合わせた娘への心の応援歌です。

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