ポエム
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真知子、おまえの目が良すぎるせいだよ
コンビニが真知子で停滞してる。夜中だ。
田舎のどんよりをただしくする白熱灯の並び
照らすラックの列も折り目ただしい

真知子、コンビニをするする泳ぐ
見えない汚れの浮いたフロアを
ムートンブーツの船でわたる

迷いようもない航路だろ
東京だっておなじだろ

おれは見つめながらスマホにつづる
回遊する真知子の長い髪
やんわりしたスカートのすそ
船が透明な波をけたてるたびに
だいたい似たような角度で揺れる
そのだいたいの境目に
真知子が探しに出たゲージュツが

イオンモールは九時半で閉まるからなごりおしいね
半日うろついてもまだ充電が足りないな

あかり求めて出てったんだろ
東京だったらあるんだろ

シアンとビリジアンの誤差が
斜視のおれにはむずかしい
色彩検定の二級を取ったが
そういうことじゃないんだろ

りょう君はずるいよねレンブラントで酔わないくせに
真珠の耳飾りの原義をあらしめる

真知子、おれにはわかんないよ
おれ高卒だし留年したし
田んぼと雑木とじじばばの群生する
360℃の山岳が半生だ
海だって修学旅行で見たきりで

おまえの目が良すぎるせいだよ
都会の潮流が視神経の発達に寄与してんだよ
きっと東京湾の波高が過剰なんだよ
船体が悲鳴してんだよ
帆柱の軋みが見えないのか

覚えてるかおれが貸した海賊の漫画
あと五年で終わるんだってよ
平面的なモノクロームの紺碧しか
お互い知らなかったのにな

東京がおれとおまえの海を腑分けしたから
もはやおまえには不足なんだろうか
山土を船で歩むのは
20/02/18 12:36更新 / さなんて



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