ポエム
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花影
【短歌十首】

立つだけで踏みにじる足ならいっそ尾鰭を編む右腕が欲しかった


そのヒール後悔はしないと爪先からスッと履くひとの首筋


夕陽が枝葉を照らしカーテンレースを染めた花影はあの日の頬


きみを包むように降る雨は遠くから見ていたい綺麗だから


貼り紙は風にまかせて祓ってしまったよとなびく露袖光る君


知らぬ間に慈悲魔とならぬことに気を付けて何も持たずただ会いにゆくひとを知り


あのひとの困った顔が最近好きなの、困ったわと笑うティーカップ


開いた心にそのまま風を受けた蝶となりて飛ぶ君が花


越えておいでと君の声聴こえるけれどイヤホンジャックを探す指


林檎を噛んだ夜は蒼白く光る露を噛むような霜の明け
25/10/19 11:58更新 / 檸檬

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