ポエム
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鴨鳴き
風が強く流れが早い川面に大きく膨らみ丸まる
鴨の群れ、どんぶらこと波を乗り越えて、
離れないように距離を保ちながらも定位置を
保つようにきっと足掻いている

風に吹かれススキの穂先は、ずっと一方向を指している

川辺りの階段に座る私の髪も、西から吹く風に
東に流れ続ける


時々、鴨の群れの中の一羽がツガイに聞こえるようにピゥ、ピゥッと高音域の短めの鳴き声を出す

その音域がわたしの心にやさしい号令をくれる

なんくるない、駄目だこりゃ、ケ・セラ・セラ

という音域ではないが、ファイトッとそんな感じ

川辺りの道で年配の男性が大きな声で歌っている

「川は流れてどこどこゆくの
ひとも流れてどこどこいくの
そんな流れがつくころには花として花として咲かせてあげたい
泣きナサイ 笑いナサイ いつの日かいつの日か、、」

嫌じゃない声、いい声かもしれない 
多分いかりや長介さん似だった

くだらないことを言っても怒られないひとと
怒られるひと
わたしは後者だな、、
駄目だこりゃ、、、少し自分を笑う

熱を守る鴨たちの共鳴、
高音域の短めの鳴き声がずっとリフレインした冬晴れの日、

丸まり、膨らみ、足掻いて

冷たい風にふかれ、離れた場所にいるあの大きくも丸まった背を見つめながら

空へ鳴く

ここにいるよ、ここにいる、

ピゥ、ピゥッ

25/02/16 20:26更新 / 檸檬



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