ポエム
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綿菓子雲
陸上競技場の片隅

階段から吹き上がる風

夕刻三時

太陽に灼かれた山肌の香りが運ばれてくる

スタートを切る火花 バトンが手渡され

走る時のその無心に追風0、4メートルが背中を押す

風、風、吹いて吹いて 渦を巻く

トラックいっぱいの風、渦を巻く

空には綿菓子雲が大きく大きくなっている

ただ差し出され、ただ握り締められた割り箸(バトン)に

ただ風が吹いて、ただ夏の熱に溶かされて

浮遊するザラメの万物が流れ、流れて、渦を巻く 

引力にのまれてしまった闇の向こうにまた光の渦

手放そうとしたバトン、まだ握り締めて

車輪のように廻る脚、駆ける足

空には綿菓子雲が大きく大きくなっている

母雲船が近づいて

蝉時雨が夕立が駆け抜けてゆく

何かが動くから わたしもうごいているみたいに

心の臓器から、心の器へと、さらさら、ザワワと

波紋が生まれる、波紋が繋がる、波紋が広がる

空には綿菓子雲が大きく大きくなっている






























25/07/21 08:49更新 / 檸檬

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