ポエム
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好きな香り
真昼には強い日差しと潮風が交ざる椰子の木が立つ港

夕立が激しく降っている

雨宿りをしてから帰ろう

きみとの出逢いはあの頃から
気まぐれな空模様のしたでも
ずっと変わらない好きがある

日々の厳しささえ
甘くして、くれた
川面から流れてくる風、
その風になでられて
すべて許せたんだ
この為ならまた頑張れる
そう思えた
暑すぎる夏にも
耐えながら
長く伸びたカヤが
風になびいて
ほどかれたリボンのように
船を見送る紙テープのように
優しい曲線をみせてくれる

今までの厳しさや、
苦みさえこの優しい贈り物
と繋がりに見送られ手を振れた

風になびく緑の流れ
砂地に咲いた露草の群生
大きなクスノキの木陰
かぼそく伸びたススキ
こうべを垂れた稲穂
どれも君を偲ばせる

空に届きそうな竹林の穂が
夏の雲をゆさゆらと
少しずつ鱗状に散らしていく
いつまでもこの胸に
広がって どこまでも
連れていってくれる
秋の風 秋の空へ
これからも
いつまでも美しく実れよ

きみよ

優しいそよ風よ

わたしを撫でてくれた

それでいいよ

大丈夫だよと

仕事帰りの道にある
あの川辺にかかる橋に立つ

紫に光る夕暮れに草が香る

まだある夏の匂いをかいだ

やっぱり好きな香りだった

とても好きな夏の香り











23/09/02 01:45更新 / 檸檬



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