ポエム
[TOP]
浜辺の絵本
浜辺で開く絵本をみせて

あの鳶が羽を広げるように

波のような手で

ページをめくって

あの潮騒のような声で

耳から砂浜へと裸足で駆けてゆく

水平線に沿って糸を張って糸電話をする

聞こえない 波の音で

でも、 聞こえるから

この果てしなく続く海原で

あの声だけが

命の灯火のように
紅く紅く 見えるからね

信じていてね

わたしはあなたが好きだよ

大好きなんだよ

浜辺で開く絵本をみせて

あなたの羽を広げて

あなたの手でページをめくって

あなたの声で歌っていて

わたしは耳を澄まして

心を澄まして

波打つ心に身をゆだねて

水平線に灯る、黄昏に還るように

眠りに落ちるのだから


25/04/18 06:31更新 / 檸檬



談話室

TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c