ポエム
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電信柱と夜の森
あなたを初めて見かけたあの場所

月明かりが綺麗だった

小学校の運動場裏、しんとした

夜の道に均等に並ぶ


電信柱をみつめてた

夜の森のような

その目線の先に
だまっているよな月明かり

青梅をつけてから降った雨

この道を静かな川のように
流れていった

真っ赤な梅干しを手にとるころには


さくらいろのぼんぼりが灯った通り


夜の校庭の木に
土の中から這い出て登りゆっくりと羽化するセミ達を


みていたのも月明かり


明日の朝になれば皆一斉に合唱する

木々を飛び 鳴きはじめる小鳥や

校庭を駆け回る子供たちに共鳴する
みたいに

今は静かな通りみち

電信柱をみつめてた

夜の森のような

その目線の先に
だまっているよな月明かり


あの日私の誕生日


あなたをはじめて見掛けた



あなたと私は


誰かの口笛を聞いてたちどまった


あなたの目は潤んでいたみたい
星屑が光って
夜の森みたいに深く


でも何故だかその瞳に


わたしは安らぎを感じたんだ


何かを歌いながら


左右に蛇行しながら電信柱に


もたれ掛かって黙って月を見上げてた

月明かりのベールにつつまれた


贈り物の様な安らぎ


まるで避難場所をみつけたみたいに
わたしは話し掛けた


夜にはそっと
その深く優しい
瞳の中でいつも休ませてくれた


日常の忙しさで失った自分


淀みなく流して、眠らせてくれた


また自分らしさを取り戻していける


そんなあなたを私は夏の夜に
はじめて見掛けた


誕生日の夜


感謝の気持ちで満たされる


この感情が夜の森を静かにながれて


弱った自分を癒してくれる


そんな瞳を持った人


そう、あなたをはじめて見掛けた夜は月が綺麗だった

だから言えるけど

あの日 電信柱の 夜の森

私は月の目であなたを見つめ
月明かりのように
優しく包み込んでしまいたくなったことを覚えている


そうすると自分が少し強くなれた
気がした


わたしは眠りながら
少しだけ微笑んでいたんだ









23/08/05 10:47更新 / 檸檬



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