夢見の雨
外はグレーチングから
雨水が吹き出すほどの強雨
遠雷が響く朝 なぜか
昔別れた人が夢に出た
拗ねたような目でぼくの手を握り
何かを言いたげに見つめていた
そういえばはじめて結ばれた日
あの日も雨が降っていたっけ
生きることの多くを教えてくれた
あの人 忘れることもできない人
スイカの皮も漬け物にして食べられること
ネギ醤油の作り方 とんこつラーメンのおいしさ
雑炊には納豆がこの上なく合うことを そして
人の愛し方を教えてくれた人
朝な夕な ぼくたちは抱き合って
よろこびとかなしみを撫で回した
ぼくはあの人の過去にまで嫉妬し
シャワーの浴び方にまで一喜一憂し
お互いの存在をたしかめては
愛しさをつぶさに感じあった
あの日のぬくもりはもう
既に消えてなくなってしまった
人は忘れながら生きなくてはならず
記憶からいろいろなものをこぼしてきた
だけど自分を作ってくれたものだけが
細胞の隙間にこびりついている
くちづけも 溶け合った部分も
果てた後の気怠い微睡みも
今は遠い遠い空の向こう
でもどうしても忘れられなくて
毛布の海に飲み込まれてひとり
響き渡る雨音を嗚咽でかき消している
雨水が吹き出すほどの強雨
遠雷が響く朝 なぜか
昔別れた人が夢に出た
拗ねたような目でぼくの手を握り
何かを言いたげに見つめていた
そういえばはじめて結ばれた日
あの日も雨が降っていたっけ
生きることの多くを教えてくれた
あの人 忘れることもできない人
スイカの皮も漬け物にして食べられること
ネギ醤油の作り方 とんこつラーメンのおいしさ
雑炊には納豆がこの上なく合うことを そして
人の愛し方を教えてくれた人
朝な夕な ぼくたちは抱き合って
よろこびとかなしみを撫で回した
ぼくはあの人の過去にまで嫉妬し
シャワーの浴び方にまで一喜一憂し
お互いの存在をたしかめては
愛しさをつぶさに感じあった
あの日のぬくもりはもう
既に消えてなくなってしまった
人は忘れながら生きなくてはならず
記憶からいろいろなものをこぼしてきた
だけど自分を作ってくれたものだけが
細胞の隙間にこびりついている
くちづけも 溶け合った部分も
果てた後の気怠い微睡みも
今は遠い遠い空の向こう
でもどうしても忘れられなくて
毛布の海に飲み込まれてひとり
響き渡る雨音を嗚咽でかき消している