忘れ得ぬ人に
十数年忘れていた行為を
思い出させたひとつの死
私を詩人と言ってくれた
あなたの言葉が思い出される
今年のクリスマスが来る頃には
私はあなたの年齢を追い越してしまう
そんな些細な事実にすら
胸は痛んで
生きていてさえくれればよかった
私と遠く離れた場所でも
あなたが幸せであったなら
それだけで良かったのに
見送ることもできないで
支えることもできないで
あなたは静かに去っていった
それが心残り
あなたが残したものを読み
あなたが描いてきたものを見て
自分の原点に立ち返る
私は何になりたかったのか
背中を押してもらった気がした
もう一度書いたらいいじゃない
そう言われた気がした
錯覚だとしてもそれに従うよ
かなしみを握りしめて
後悔に胸をかきむしる
見苦しくて滑稽な姿も
どこかで見てくれるなら
きっとまだ遅くはない
きっとまだ時間はある
詩を書く真似事がいつしか
ほんとうの詩になるように
私はもう一度書いていく
私は何度でも書いていく
あなたの背中を追うように
早すぎるあなたの死を忘れぬように