あみもの
なくしたものへの後悔と贖罪
償いきれないとはわかっていても
今日もこうして言葉を編んでいる
もう届かなくなった声
聞き手を失った言葉たち
今さら語るべきことなんてない
そう思い込んでいた
行き先がなくなってしばらくは
こんなものも作れなかった
少しは前進できたのだろうか
ずいぶんと時間はかかったけれど
手先が不器用なぼくは
マフラーのひとつも編めないから
寒い朝や冷たい夜には
胸のあたりを温められるようにしたい
終焉へと向かう必然に
抗うようにして言葉を編む
ちょっとした風よけにでもなればいい
できたものはここにおいていくから
なくした大切なものを思いながら
過ちの時間を抱いたままで
今日もこうして言葉を編んでいる
誰かが拾ってくれるのを期待して