ポエム
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うすむらさき




君が手渡した薄紫の花
それが僕をこんなにも縛る
今も


悲しく開いた秋の日に
君がさびしげな笑顔でくれた花束
薄紫色の咲きほこる影に
その決意が刻まれていたってこと
僕はまだ知らなかった
あの日

君はそれから僕を離れて
僕にはさよならを告げた背中を
見送るしかできなかった

涙の海に泳ぎ疲れて
知らずたどり着いたのは
あの花に込められていた意味
初めて気付いた君の言葉
そしてそのさびしさと優しさは
胸に深く刺さって

夢を語った帰り道
うつむく君を笑わせたくて
ずっと励まし続けたこと
「ため息をつくと幸せが逃げるよ」
君がそう言って以来
ため息を飲み込んで笑うようにしたこと
夜露のように輝くその一つ一つも 君は

君が僕に教えてくれたことを
忘れないでいたいけど
また新しい恋に向かって
歩いていってしまうんだろう

あの言葉に込められた想いは
そう 優しさだったのに
今の僕には遅すぎて
まるで冷たい災害のように
その傷跡を残してしまった


秋が過ぎて あの花束も枯れてしまった
だけど薄紫色の言葉は胸に刺さったまま
君は空の上でどんな暮らしをしているんだろう
問いかけに答えられる者はない

きっと何度でも花は咲きまた散るだろう
それでも僕をこんなにも縛る
今も
いつも
23/08/23 17:56更新 / 秋山 青生



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