ありがとうの代わりに
書くことはいつも難しい
自分の胸を抉らなければ
ことばはこぼれ落ちてこない
喪失も苦悩も後悔も全て
胸の中にこびりついているから
どうしたって嫌な音をたてる
それでも
溜め込んだ泥水の上澄みのような
湿って生ぬるいこのことばに
確かな意味を持たせてくれるのは
放りだして散らばったことばに
美しい世界を着せてくれるのは
つねにあなただと知る
私が書かずにはいられないのは
全く不徳の致すところで
如何ともし難い感情の逃げ場を
こうして何かと呟くしかないという
手癖の悪さですけれど
こんな私でも あなたに願う
同じ空の下生きていてほしい
できることならしあわせに
祈りははかなく消えたとしても
どこかで希望と巡り会えるはず
そう信じて
感謝を伝える代わりに
今日も文字を書く
きっと生きている限り
明日もことばを並べる
時には笑いながら
時には泣きながら
詩を目指して彷徨い歩いていく