ポエム
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名もなき生命の重さ
ニュースでは遠くの地震で
数千人の死者が出たと告げている
残念ながらぼくは目の前の一つの死すら
受け入れることができないでいるのに

一つの死には常に
たくさんのかなしみが満ちている
家族の 友人の 恋人の
それぞれの涙にまみれていると
ぼくはいやというほど知っているのに

テレビを消して部屋を出る
まるで何事もなかったかのように
たくさんの涙を見なかったことにして
今日の夕食のことを考えたりもする
地震の跡では食べるものすらない筈なのに

路端に咲いた花がきれいで
見上げた空が美しかった
それだけで少し気が楽になってしまう
ぼくは本当に小さな人間だ
23/09/13 19:00更新 / 秋山 青生



談話室



■作者メッセージ
モロッコの地震のニュースを見て書きました。
東日本大震災の被災地の人間として、他人事ではないなと思っております。

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